今回は、プロのイラストレーター・中村佑介氏による【パロディ】【オマージュ】【パクリ(盗用)】【トレース】について、Twitterで、一人の方の問いかけから、回答してくれました。その回答がプロとして非常に大事なことを教えてくれていましたので、そのTwitterまとめの形でご紹介します。
パクリと何か?何が問題か?まず、問題提起
ただこうして僕が取り上げることは、一種権威のようになり、その方に良からぬダメージが集まってしまう心配もあるので、特定はしません。そして、意見、立場は人それぞれだと思いますので、これが正解でもありませんし、心が軽くなりそうな方だけ、そっとすくい上げて頂ければと思います。
— 中村佑介💿ジャケ全集『PLAY』 (@kazekissa) June 7, 2014
ただこうして僕が取り上げることは、一種権威のようになり、その方に良からぬダメージが集まってしまう心配もあるので、特定はしません。そして、意見、立場は人それぞれだと思いますので、これが正解でもありませんし、心が軽くなりそうな方だけ、そっとすくい上げて頂ければと思います。
— 中村佑介💿ジャケ全集『PLAY』 (@kazekissa) June 7, 2014
【パロディ】【オマージュ】【パクリ(盗用)】【トレース】について中村さんがわざわざ丁寧に説明することをはじめてくれました。
トレースについて
まずは一番簡単な【トレース】から。誰しも小学生の頃、大好きな漫画を下に引いて、少し透ける「うつし紙」でなぞったことはないでしょうか?あのうつし紙の正式名称を"トレーシングペーパー"といいます。そのトレース。つまりトレースとは、"すでにある物をなぞること"です。
— 中村佑介💿ジャケ全集『PLAY』 (@kazekissa) June 7, 2014
パロディとパクリについて
次に【パロディ】。パロディという言葉から、ギャグっぽい印象を受けてしまいますが、正式には『他の芸術作品を揶揄や風刺、批判する目的を持って模倣した作品、あるいはその手法』とあります。ちょっと難しいので、図を用いて説明しようと思います。
— 中村佑介💿ジャケ全集『PLAY』 (@kazekissa) June 7, 2014
【パクリ】と【パロディ】、絵だけを見ると違いがわかりにくいですが、誰が見ても明らかに元ネタがわかるように描く、もしくは明記している、それがパロディです。
— 中村佑介💿ジャケ全集『PLAY』 (@kazekissa) June 7, 2014
講座の方でも何度か登場しているビックリマンシールを今回も例にしますね。これはその中でも一番有名な"スーパーゼウス"というキャラクターです。 pic.twitter.com/KG5xI0x9f3
— 中村佑介💿ジャケ全集『PLAY』 (@kazekissa) June 7, 2014
まずはこれがスーパーゼウスの【パクリ(盗用)】。まだまだありそうですが、ひとまずギリギリっぽいものの中から2点。 pic.twitter.com/YRYIDPKePk
— 中村佑介💿ジャケ全集『PLAY』 (@kazekissa) June 7, 2014
そしてこちらがスーパーゼウスの【パロディ】。ちなみにこれはオリオン株式会社の『ひょうきんマンラムネ』というおまけシールですが、ビックリマンと同じグリーンハウスによる作画なので、自己パロディとも言えますね。 pic.twitter.com/V9AHc47Ial
— 中村佑介💿ジャケ全集『PLAY』 (@kazekissa) June 7, 2014
"2次創作"と呼ばれる同人誌も、大きく分ければ、この【パロディ】の中に分類されると思います。
— 中村佑介💿ジャケ全集『PLAY』 (@kazekissa) June 7, 2014
オマージュについて
僕が好きなオマージュは、漫画『虹色とうがらし』(あだち充/小学館)より、よく見ると雲が手塚治虫先生の顔になっているシーン。この漫画は時代劇もので、内容も特に手塚先生とは関係ないのですが、あだち先生からのリスペクトが見えてきます。 pic.twitter.com/MP1fLZvAJ9
— 中村佑介💿ジャケ全集『PLAY』 (@kazekissa) June 7, 2014
このようにオマージュは漫画、イラスト、音楽等々の作品においても、一見してわかりにくく、作者に話を聞かないとわからないことがほとんどですが、パロディに比べて、"笑える"や"似てる"ではなく、尊敬の念をこちらが受け取ることが出来るものを指します。
— 中村佑介💿ジャケ全集『PLAY』 (@kazekissa) June 7, 2014
それでは本題!パクリについて
いくらオリジナリティと言っても、人間は目で見た、また外界から感じ取ったイメージでしか、芸術を創造することが出来ません。例えば想像上の生き物といえ、例えばエジプトのスフィンクスも、人間の顔、鷲の翼、ライオンの手足に、ヘビの尻尾。また宇宙人にせよ、タコか人間かトカゲの形ばかりです。
— 中村佑介💿ジャケ全集『PLAY』 (@kazekissa) June 7, 2014
だから無意識に(悪意なく)真似てしまうことなんて多々ありますし、「絵は真似からはじまる」とも言います。その上、両者(作者と受け手)の見解が違ってくるのですから、「もうラチがあかん!」というのが僕の大雑把な意見です。
— 中村佑介💿ジャケ全集『PLAY』 (@kazekissa) June 7, 2014
ただ問題となってくるのは、それはあくまでアマチュアの世界であって、プロの世界、つまり社会に出ると、そうも言ってられなくなります。なぜか、それは"利益(お金)"や"権利"が関わって来るからです。
— 中村佑介💿ジャケ全集『PLAY』 (@kazekissa) June 7, 2014
裏を返せばその方が、プロになり、例えば本の表紙などにもそのパクリ or トレース絵を描き、お金をもらって、発表・発売したとしたら、話は別になってきます。お金や出版社が関わってくるから、ですね。
— 中村佑介💿ジャケ全集『PLAY』 (@kazekissa) June 7, 2014
プロとして、自分のスタンスをもっていること。
とはいっても、法律を守る。そして破ったら罰がある。それが法治国家「日本」のルールです。中村さんはこういっている。皆がやっている。ではなく、「自分自身」で責任ある行動が、皆さんの責務です。
中村さんのツイートは『プロの覚悟を学ぶ』ということ。これからクリエイティブな業界へ進む方へ非常に良い示唆になっていると感じました。感謝。
結論、「一緒に絵を楽しみましょう」、そんな感じです。長い連投となりましたが、最後まで読んで下さった皆さま、どうもありがとうございました。また興味のない方も、TLを占領してしまって誠に申し訳ありませんでした。
— 中村佑介💿ジャケ全集『PLAY』 (@kazekissa) June 7, 2014
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